世界のニンフィング戦術
世界のニンフフィッシング戦術
チェコニンフ?
日本ではチェコニンフと呼ばれていますが、本場ヨーロッパでは、チェックニンフィングと言います。チェコは英語名で「Czech Republic」といい、「チェックリパブリック」と読みます。日本では、チェコ共和国と呼ばれていますので、そのチェコをとって、チェコニンフと呼ばれたのでしょう。ですが、本来は「チェックニンフィング」が正しい名称です。チェックニンフィングも、ヨーロピアンニンフィングの中の一つに過ぎません。
チェックニンフィング・ポーリッシュニンフィング・フレンチニンフィング・スパニッシュニンフィングの総称が、ヨーロピアンニンフィングと世界的に呼ばれています。
ヨーロピアンニンフィングが成功した理由
このニンフフィッシングが成功した理由は、
「水生昆虫のとても短いライフサイクルの大部分を、水面下の世界で成りえている」
ことが理解できれば分かると思います。
魚の餌の大部分は川底を流れるニンフであり、
そのことを我々はより意識すれば、魚は今までより釣れるようになります。
つまり、水面上の虫(ドライフライ)に飛びつく時間より、水面下のニンフを捕食している時間の方が圧倒的に多いのです。
カゲロウ、カワゲラ、カディス、ユスリカや他の水生昆虫の生息と成長は、川石の下や水生植物の間や堆積物の中で行なわれます。 いくつかの浅い場所で川底をよく観察してみると、そのことがよく分かります。
石を裏返し沈没物を取ったり、網目の細かいふるいに通して泥を洗い取り除いてみると、幼虫(ニンフ)の豊かな生命感を見ることができます。スカッド - - 淡水エビも、河川によりますが、他の水生昆虫に混じり多く生息しています。
多くのフライフィッシャーマンは、ニンフフィッシングは、
古典的なドライフライフィッシングと同等の美しさがあるとは思っていません。
しかし、その有効性は想像を超え素晴らしく、
このメソッドは現代のフライフィッシャーマンにとって必要不可欠な戦略です。
それは、このニンフフィッシングをマスターするフライフィッシャーマンに、
忘れられない多くの素晴らしい経験をもたらすでしょう。
詳しくはこちらで解説しています。
⇒ ヨーロピアンニンフィングとは?
より川を知れば、おのずとニンフフィッシングに辿りつく
ドライフライの釣りというのは、水面上という川の限られた領域への対応をする釣りです。なので、おのずと季節や時間や釣り方の制約が多い釣り方です。その規制された条件の中で釣りをすることの面白さもあることは確かです。私もドライフライは大好きです。魚が水面を割って出るその瞬間は、アドレナリンが吹き出る勢いです。
ですが、その一方で川というものは想像以上に懐が深い訳で、水面上はそのごく一部の表情でしかなく、その大部分は水面下でのドラマチックな躍動する生命で成り立ってることを忘れてはなりません。
つまり、より川を知ろうとすればニンフの生態に意識が行かなくては、それは片手落ちになってしまっている可能性があります。
川をより深く知ることが釣りが上手くなる必須条件であるならば、ニンフフィッシングを深く追求しないことは、川の中を知らない表面的な趣だけで満足してしまっているとも言えるのではないでしょうか。
目視して釣るドライフライに対して、五感を研ぎ澄ませ、六感を発動させる水面下の釣りは、思っている以上にダイナミックな世界観があるのです。
ヨーロピアンニンフィングの歴史
ヨーロピアンニンフィングの歴史は、1984年にチェコのコンペティターが国際的なフライフィッシングの競技会中に、ポーランドのショートディスタンスの釣法を見たことからその始まりがあります。
彼らはフライラインをほとんど出さず、●●のリーダーで、釣りを展開していました。
ポーリッシュによって使用されるフライはカディスのHydropsycheとRhyacophilaをイミテイトしたものでした。その後、ポーランドのサンリバーで行われた世界選手権で、チェコチームが準優勝を獲得しました。
1986年に開催されたベルギーでの世界チャンピオンシップで、ショートニンフィングを試したチェコチームに初の金メダルをもたらしました。
まずチェックニンフィングは、カーブドシャンクフックを用いた、スカッドやシュリンプパターンのフライを開発し、その絶大な効果を実証しました。
特徴的なフック形状と高品質の新しいダビング材を使い、ナチュラルな生命感と共に、より魚にアピールするアトラクティブな●●を強く意識したフライを開発していきました。
チェコニンフの開発は急速に進み、ショートニンフィングの技術と一緒にオリジナルのフライパターンを使い、競技会でチェコは常に優勝常連国となります。 英国オリバー·エドワーズがチェックニンフィングの出版をした後、ショートニンフィングの技術はヨーロッパに急速に広まっていきました。
チェコニンフは今も進化しています。タングステンボディーのカーブドシャンクフックやメイフライタングステンソラックスフックの開発など世界では類を見ない独特のオリジナルイクイップメントを世に送り出しています。
その後、ショートディスタンスのポーリッシュやチェックに対して、ロングディスタンスのロングリーダーでのテクニックであるフレンチニンフィングやスパニッシュニンフィングが生まれました。
この釣り方は、シャローウォーターのセレクティブな魚に対して、大変有効なメソッドとして、競技会でも優秀な成果を上げました。
フランスやスペインのフライフィッシャーは、近づけないシチュエーションでもコンスタントに魚をフックセットする為に、●●ニンフを2リグで組み、独特の考え方に基づいたフレンチリーダーでの繊細な釣りを展開し、ショートリーダーでは出来ないアプローチを可能にしました。
今、ヨーロッパのコンペティター達は、この2つのニンフィングメソッドを巧みに取り入れ、ドライフライやウェットフライと共に、更なる高みを目指して試行錯誤を続けています。
詳しくはこちらで解説しています。
⇒ ヨーロピアンニンフィングとは?
CzechChampionNymph チェックチャンピオンニンフ
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ニンフフィッシングの先駆者フランクソーヤー
ニンフフィッシングの面白さやその絶大な有効性、奥深さを世に知らしめたのは、
イギリスの伝説のフライフィッシャーである、フランクソーヤー。
数多くの書籍を残し、今も世界中のフライフィッシャーマンに多大な影響を与え続けています。
しかし、ソーヤーが生きた時代は、ドライフライが盛期を向かえていて、多くの釣り人は、
ソーヤーが提唱するニンフフィッシングの素晴らしさを分かろうともしませんでした。
「邪道」とまで言われ、一時期は、川へ行っても誰も口も利いてくれなかったそうです。
しかし現在、ソーヤーの生み出したフライ、「フェザントテール」の恩恵に与っていないフライフィッシャーマンは、おそらくいないのではないでしょうか。
この事象は、大変興味深いものです。
いつの時代も、時代を切り開いていくのは「孤高を恐れぬ」その感性や斬新さや発想から生まれるエネルギーに他なりません。
このニンフィングは日本でもいづれ、「マーカーニンフィング」や「アウトリガー」と同等、いや、間違いなくそれ以上の絶大なる有効性を、多くのフライフィッシャーマンが認めることになるでしょう。
今、ニンフフィッシングの新しい常識として、
あなたの目の前にこのメソッドがあるのです。
フランクソーヤーの生涯
内容(「BOOK」データベースより)
舞い立つカゲロウ、きらめく川面に躍るマス。エイヴォン川のほとりの田園地帯でマスや水鳥を遊び相手に育ったソーヤーは、何よりもなりたかったリバー・キーパーとして生涯を過ごし、川辺の自然の維持に心を砕いた。そして独自の観察により、現代のニンフ・フィッシングの礎をきずいた。ソーヤーほど川と川に棲む生物たちを知りつくした人間は数少なく、自然を見つめるその眼差しは正確で、深い愛情に満ちている。本書は、川を守り、川に生きた男の物語である。
シャルルリッツとフランクソーヤーの友情
シャルルリッツという人は、ハイスピードハイラインで知られる、
この人も世界的な伝説のフライフィッシャーです。
「A flyfishers life」
という名著も歴史に残しています。
ペゾン&ミッシェルというバンブーロッドの銘竿を世に送り出し、
ファリオクラブという釣りの友好団体もその名を世界にとどろかせました。
そのシャルルリッツが、フランクソーヤーと釣りをした時のことを、
上記の本「フランクソーヤーの生涯」の180ページから6ページに渡って、こう書いています。
※内容の一部を引用し紹介します。
「私がソーヤーを好きなのは・・実用的かつ本質的なものを求め・・
つまり、盲人がそなえているような第六感による先見力をつけることができる・・私がやったかぎりでは、それはフライフィッシングの技術の頂点である」
ということを言っています。
ソーヤーはこの時、卓越したニンフフィッシングを展開したのです。
リッツは、パリにあるリッツホテルの2代目の実業家。
一方ソーヤーは、イギリス、エイヴォンの田舎のリバーキーパー。
しかし、この2人は4世紀半に渡って親密な友情を持続させています。
「釣りが、まったく違う種類の人間を結びつける絆となるすぐれた例である」
とも、書いてあります。
・・・・。
この言葉は、すごく深いですよね。人生哲学さえ感じます。
ということですので、
この本は、ぜひ読んでみてくださいね。
ヨーロピアンニンフィングメソッドメンバーの方に、
特に読んでもらいたいですね。
その精神と技術が世界規模で体感できると思いますので。
リッツとソーヤーの関係に、答えがある。
リッツという方は、リッツホテルの2代目であり、すぐれた実業家であります。
まあ、お金持ちということです。パリの社交界な訳です。
そして、バンブーロッドのパラボリックアクションとか、
ハイスピードハイラインとかの理論を探求し確立していったのです。
一方、ソーヤーはイギリスの田舎の川の番人。
ドライフライ全盛期の中で、
水面下の釣り、ニンフフィッシングの探求を生涯をかけてやりました。
最初は、煙たがられました。邪道とも、言われました。
ニンフフィッシングというのは、ウェィテッドの重いフライを使いますので、
ロッドも、それを投げられるそれ相応のものが必要です。
ハイスピードハイラインやタイトループキャストをするよりは、
よりライントラブルを少なくするキャストが求められたと思います。
オープンループとか、回し振りキャストとか・・。
つまり、
バンブーロッドという、ドライフライに適したロッドを世に送り出したリッツと、
重いフライを使うニンフフィッシングを探求したソーヤーは、
釣りにおいてもある意味、対極にいたと想像するんですね。
そして、生き方についても。
そんな2人が、長年に渡り親交を深めていたという部分にこそ、
フライフィッシングの何たるかが、隠れている気がします。
私は、どちからというと、
リッツがソーヤーの生き方に憧れを抱いていたのではないかと想像します。
実業で成功し、たくさんの富を得て、華やかな社交界で生きたリッツには、
ソーヤーの生き方を見て、
自身にない魅力をひしひしと感じていたんだと想像するんですね。
ということで、
あなたが現代のシャルルリッツだと想定すれば、
私は、現代のソーヤーのような役割かもしれません。(笑)
(逆もありき)
ならば我々は、その友情を深めようではありませんか、という提案なんです。
情熱はいつも心の中で静かに燃え続けています。